シーズウェア [PS][DC]
EVE ZERO
→ ネタバレコメント



STORY

「burst error」より二年前。
まだまりなも小次郎も「EVE」の何たるかを知る由もない頃から、すでに二人はその運命に導かれていた。

「KOJIRO」サイド
主人公、天城小次郎は、桂木探偵事務所に所属する有能な探偵である。
桂木探偵事務所長、桂木源三郎不在を守る形で日々仕事をこなしていた小次郎の元にある日『家出少年を捜して欲しい』という依頼が訪れる。どこにでもあるたわいもない仕事にいつものように取り掛かった小次郎はすぐに少年を探し出す。ちょうどその頃行方不明になっていた源三郎が突然帰国し、迎えに行った小次郎は源三郎と共に少年の身柄を確保しようとしたのだが、少年のいたゲームセンターで突然黒尽くめの男達から発砲される。源三郎の機転によりなんとかその場を脱出した3人だが、少年は依頼主である父親の元に返ろうとはしない。その様子は単なる家出ではなく、もっと奥深い何かが潜んでいるようだった。そして、それから少年の周りで奇妙な事件が起きはじめた。
少年の家出の理由は?源三郎の突然の帰国の意味は?小次郎たちへと発砲したのは何者なのか?ひとつひとつの些細な事件がいくつも絡み合い小次郎を翻弄していく。謎が謎を呼び、過去の功罪をも引きずりながら悲劇は繰り返される。

「MARINA」サイド
主人公、法条まりなは、公安六課のエージェント。ある深夜に上司である甲野本部長から殺人現場へ向かうように言われる。最近巷でにぎわっている連続殺人事件には奇妙な点があり、被害者は内蔵がすべて抜き取られるという。この本来ならば殺人課扱いの猟奇殺人事件がなぜか超法規的組織である公安6課にまわされてきた。遺体の検死を行なった同期の検視官高畠からも事件の奇妙さが伺えるという。
なぜ一介の殺人事件を公安部が請負うのか?
はっきりとした目的も謎のまま、目撃者もなく捜査は行き詰まる。そんなまりなには別件のアメリカ女性の監視・護衛命令が出る。ルースという女性の監視、護衛を行ないながら、関係者の少女失踪事件が加わり、まりなも困惑を隠せない。
日本とアメリカ両国の様々な思惑が絡み合う。一体ルースの目的は何のか。事件が事件を呼び、悲劇が繰り返されていく。
敵は誰?
猟奇殺人の目的は?




二人がたどり着くのは、「EVE」。まるで運命付けられたかのように、ここから「EVE」の物語が始まる。





CHARACTERS


 あまぎ  こうじろう
天城 小次郎
「桂木探偵事務所」の所員で、小次郎サイトの主人公。長髪で前髪が長い。←瞳を隠している。
幼いとき、両親を事故で失っている。命の危機に陥ったところを源三郎に救われ、引き取られる。辣腕の探偵に成長し、源三郎の出奔中は桂木探偵事務所の実質上の責任者として活躍する。源三郎のひとり娘の弥生とは恋人同士だが、喧嘩が絶えず別れてはまた復縁するという繰り返し。
「抵抗はあるさ。……コイツはまぎれもない人殺しのための道具だ。それ以外の使い道はない」

ほうじょう
法条 まりな
まりなサイトの主人公。警視庁公安部に所属、高い任務達成率のやり手のエージェントだが、規律無視や上司への不服など問題も多い。よって直属の上司、甲野のフォローで何とかやっている状態。恋愛が趣味と言い切る奔放で楽天的な性格。桂木弥生とは留学時代の友人。
「昨日、しかも真夜中にたたき起こして……あんな気持ち悪いもの見せたからには、それ相応の理由があるんでしょうね?」

かつらぎ やよい
桂木 弥生
桂木探偵事務所、所長代理。源三郎の娘で小次郎の恋人。理由も告げずに突如出奔してしまった父、源三郎の後を継いで小次郎と共に桂木探偵事務所を切り盛りしている。幼い頃に母を亡くし、男手一つで育てられたためか男勝りで勝ち気な性格。料理は得意で良く台所に立っているようだ。
「私は何があっても小次郎の味方たぞ」

かつらぎ げんざぶろう
桂木 源三郎
「桂木探偵事務所」の所長で弥生の父。実の娘の弥生もその詳しい経歴は知らず、探偵事務所の所長に身を置いている。天涯孤独の身の上となった小次郎を救い、探偵に育て上げる。三年前に事務所を娘と小次郎に任せて失踪。そして、突然帰還するが……。
「いいか、小次郎。その銃をお前に持たせるのは、それが必要になるときがくるからだ」

 こうの  さぶろう
甲野 三郎
若くして警視庁公安部の要職にのぼりつめた切れ者。階級や立場に囚われない柔軟な思考の持ち主だが、切れ者であるが故に組織では煙たがられ、孤立した存在。のちにまりなたち腹心の部下を連れ『内閣調査室』という公安では扱いきれない特殊な難事件を調査する特務機関を設立することになる。まりなが唯一信頼できる上司。
「警察手帳持って現場付近を転がしたい?大変だよぉ?現場はちょうど繁華街になっていてね、40万世帯くらいあるんじゃないかなぁ〜〜」

たかばたけ ゆたか
高畠 豊
まりなが通う警察署に勤務する彼女と同期の検視官。警察庁鑑識課所属。死体愛好家で彼がもっても美しいと主張するのは、ドクロである。洞察力に優れ、死体からその犯人の心理を割り出したり、動機を解明したりしてまりなに助言する。いつもはボ〜〜ッと毎日を過ごす、楽天家。
「でも『暴れたい』って顔に書いてあるよ、法条」

みまさか やすじ
美作 康治
内閣官房・内閣情報調査室の局員。
命令無視が多く、疎まれた存在だが、その実績は警視庁最高とも言われている。前職の刑事時代は捜査一課だけでなく、マル暴や二課などでも活躍している。内調でも問題局員であるものの、任務の成功率の高さから、一目置かれている。甲野本部長とは、旧知の仲。しかも桂木源三郎とも面識がある。
「オレか?オレは、内調の美作だ」

 
collection of words ネタバレ有
MARINA side
まりな 「さて、昨夜私を呼び出した理由を教えてもらいましょうか」
甲野 「うむ。その前に……」
まりな 「なによ」
甲野 「ま、お茶でも一杯」
まりな 「……なんかはぐらかされているような気もするけど」
甲野 「話?長いよぉ〜」
まりな 「いただきま〜す(即答)」
まりなの上司、甲野との会話はいつもこんな感じです。ラブリーなおじさんっすね。二人の漫才は楽しいですよん。

甲野 「まあよく聞いて、今回の事件がなんでウチに回されたのかつきとめてくれたまぇ」
まりな 「ちょっとちょっとちょっとぉ!!」
甲野 「それともなにかね?他の連中と一緒に聞き込み捜査とかやる?」
まりな 「うっ!」
甲野 「警察手帳持って、現場付近を転がしたい?大変だよぉ、現場はちょうど繁華街になっていて40万世帯くらいあるんじゃないかなぁ」
まりな 「ロッ、ローラー作戦ッスか!?」
甲野 「そ!」
まりな 「会議に出させてイタダキマス」
甲野 「ご苦労、まりなくん。聞き分けが良くて助かるよ」
………って本部長、憶えてなさいよぉ!!!と燃えるまりななんですわ。彼女を怒らせると怖いけれど、さすが本部長。慣れていらっしゃる。

まりな 「高畠 豊。死体に全てをかける変態検視官ね。エンガチョ!」
高畠 「いやあ、法条にほめられてしまった」
まりな 「ルックスはまあ、マシなんじゃないの?私はどうでも良いけどね」
高畠 「そんなこといって、カッコイイって言ってくれればいいよ」
まりな 「とことんマイペースなのと、こっちの意を介してくれない鈍感さがある意味売りになってるわね」
会議で一応の初登場する高畠。はまりキャラです(微笑)かなりツボキャラな彼は、まりなの言う通りのとっても変わった検視官なのですわ。

まりな 「あの係長、あんまりみないけど…」
高畠 「警視庁の人間だろ?」
まりな 「わざわざ来たのかしら?」
高畠 「組織のことなんかさっぱりわかりません」
まりな 「その辺似た者同士かも……」
高畠 「ん?……結婚する?」
まりな 「ブッ!」
高畠による悩殺セリフ第一弾(笑)彼はこういった言葉を臆面もなく口にしちゃうので照れまくり。またまりなの反応も笑えたりします。

高畠 「キミが担当するのかい?」
まりな 「私はどっちかって言うと、なんでこの事件がこっちに回っていたかを調させられそうだけどね」
高畠 「甲野本部長のやりそうなことだ。でも、意外とそういうところから事件が解決したりするからあなどれない」
まりな 「私もそう思うわ」
高畠 「で、この会議で何かわかったことは?」
まりな 「あんたの話が一番ためになったわ」
高畠 「ありがとう」
まりなとの相性もなかなかに良いのですわ。高畠っておっとりしているのにいざって時は鋭いんですよねぇ。

KOJIRO side
源三郎 「小次郎……わたしたちは、いつまでここにいればいいんだ?本当に動くんだろうな?」
小次郎 「オレを疑うのか?」
源三郎 「もう2時間だぞ、わたしは少々空腹なんだが」
小次郎 「だったら帰れよ」
源三郎 「久しぶりに日本に戻ったというのに、一人でわびしく食事しろというのか?恩知らずめ、誰が一人前にしてやったと思ってるんだ」
小次郎 「オレに『わたしが張り付けといったら死んでも張り付くんだ』って教えたのはあんただろう!」
源三郎 「つまらんことを覚えとるな……」
小次郎とおやっさんの会話。まじめな顔して「しれっ」とした口調が笑えます。

小次郎 「……久しぶりに帰ってきたってのに、とんでもない目に会わせちまったな」
源三郎 「気にするな。これくらいのアクシデントがないと、人生は退屈でつまらん」
「事件は人生のスパイス」というおやっさん。……ダンディーな中年に惚れそうです(苦笑)

小次郎 「冗談じゃないぜ!オレはいつだって自分のアタマとこの体だけで勝負していたんだ。今までだってヤバイことはあった。しかし、オレはこうしてちゃんと生きてる。……こいつは返す。オレには必要ないからな」
グレン 「そいつは、ちょっと甘いんじゃないですかねぇ……。確かに今まではそれでよかったかもしませんが、今回もそれで乗り切れるとは限りませんよ」
桂木源三郎を通じて知りあった裏社会の情報屋、グレン。彼は源三郎の依頼で小次郎のもとにあるものを届ける。それは……。

小次郎 「抵抗はあるさ。……コイツはまぎれもない人殺しのための道具だ。それ以外の使い道はない」
グレン 「自分の命を護ってくれるための道具って考えは出来ないんですからネェ。実際、小次郎さんには必要だと思いますよ」
グロッグ社の拳銃。裏の社会で生きていくためには命の次に大切になる代物だが、小次郎にはなかなか受け入れる事は出来ない。

小次郎 「オレには必要ない。こいつは、人殺しの道具だ」
源三郎 「お前の命を救ってくれる道具でもある。……いいか、自分の命は自分で護らなきゃならんのだ」
二人の主張はどちらも正しい。だが、住む世界を思えばこその源三郎の選択の心意を小次郎は……。

源三郎 「確かに重い。他人の命を自分の手の中ににぎっていると思うと、なおさらだ。それをわかっていればいいんだ。……小次郎、頼むからそいつを手放すんじゃないぞ。いつでも身につけておけ。きっとお前の命を救ってくれる」
半ば無理やり小次郎に銃を持たせる源三郎。彼にはこの先起こるであろう事件の一端が見えていたのだ。