BONES
COWBOY BEBOP〜Knockin'on heaven's door (天国の扉)〜
→ ネタバレコメント



STORY
宇宙時代を迎えた21世紀の太陽系。

「位相差空間ゲート」により、人類は短時間で惑星間を航行し、各惑星で生活していた。殺伐混沌とした惑星社会では、発生する犯罪も多様化し、それに対抗するため太陽系刑事警察機構(lSSP)が設立された。そしてさらに、広大な宇宙間に散ってしまった無法者や組織などの犯罪者たちを捕らえるために、個人や警察機構、政府などが賞金を懸ける"賞金稼ぎ"の制度が導入されていた。
銀河の『カウボーイ』ともいえる主人公たち――― 『賞金稼ぎ』のスパイク・スピーゲル、スパイクの相棒ジット・ブラック、過去の記憶を喪失した女賞金稼ぎフェイ・ヴァレンタイン、天才的ハッカーの少女エド、そして犬のアイン――4人と一匹が、惑星間航行船ビパップ号を駆り、賞金首を追い、時空を超えて、クールでルーズなスペース・アクションを繰り広げる、それが『カウボーイビバップ』だ。

≪煉獄…それは、天国に入れず取り残された者たちが苦しみ続ける場所≫

2071年、火星。
ハロウィンを目前にしたクレーター都市アルバシティーの高速道路で、タンクローリーが爆発事故を起こした。タンクから漏れだした物質により被害は周囲3kmにも及び、500人以上の死傷者が出る大惨事となった。警察は、タンク内に何らかの薬品が入っていたと断定。事故後に原因不明の死を遂げる被害者たちの姿を目の当たりにし、正体不明のバイオ兵器を使用したテロの可能性を示唆する。そして、火星政府はこれを受け、犯人に3億ウーロンという巨額の懸賞金をかけると発表した。
相変わらずの貧乏状態が続いていたビバップ号クルーたちは、この史上最高額と言われる懸賞金に、当然目の色を変えた。しかも、別件で盗難クレジット・カードの使用情報からハッカー、リー・サムソンを追っていたフェイが、偶然この事件に遭遇し、犯人の姿を捉えていたのだ。最初は乗り気ではなかったスパイクやジェット、エドもそれぞれ勝手に犯人捜しを始めるのだった。
スパイクは「何でもある」と噂されるモロッカン・ストリートで毒物を特定しようと聞き込み。そこで出会った謎の人物ラシードから渡された壼の中には、事件の謎を解く鍵となる、小さなビー玉状のカプセルが入っていた。
一方、ジェットは元警官のコネを活かしてlSSPの内部情報を探り、ある製薬会社が事件の裏にあるらしいことを聞き出す。
その頃、エドとフェイはビデオの画像を詳しく解析。すると画像の犯人には腕に彫られた入れ墨があることが判明する。その図柄から軍の関係者であること。そしてアインの指摘からヴィンセントであることもわかった。だが記録によると彼は、この事件よりずっと以前に死亡しているというだ。

 すでに死んでいるはずの犯人。
 巨大な製薬会社に軍特殊部隊。

 そして、謎のビー玉…。

最初は単なるテロ事件に見えたその背後には、大きな謎が秘められていた。疑惑の製薬会社チェリオスケミカルに単独潜入したスパイクは、企業のものとは思えない武装をした警備員に軍の介在を直感。彼の前に立ちはだかったエレクトラは、ジークンドーの使い手スパイクと互角に渡り合うほど訓練を受けた女性。そして彼女の腕にはヴィンセントと同じ入れ墨があった。
一方、リーがヴィンセントと共謀しているのではと感づいたフェイとエドは、クレジット・カードの使用情報からリーを追う。だが、とっさの不意打ちにより取り逃がしたリーを彼が残した遺留品の匂いからアインとエドが嗅いで追跡することで、とうとうふたりの隠れ家を発見する。しかし、単身そこへ乗り込んだフェイがそこで出会ったモノは……。
全員が勝手な動きをし、危険な事件に深入りしていることを感じたジェットが「もうこんなチームではやってられねえ」といらだちを募らせる一方、スパイクは潜入時に仕込んだ盗聴器から軍の情報を引き出し、ヴィンセントの居場所を突き止める。モノレールに乗り込んだヴィンセントをスパイクが追い詰め、一騎打ちが始まる。
最初は優勢に思えたスパイクも、まるで不死身のように立ち上がるヴィンセントに対し劣勢に回る。ついには銃弾を撃ち込まれ、モノレールから突き落とされてしまうスパイク。
遅れて現場に到着したエレクトラも、ヴィンセントのモノレール爆破を食い止めることはできなかった。
しかし、彼女は知る。自分の身体にもヴィンセントと同じ秘密があることを…。
再び多数の被害者が出たテロ現場。しかし、そこにヴィンセントの屍は発見されない。

 ヤツは、いったい何者なのか?
 なにが目的で、なぜ毒物をばらまきながら自分は平気なのか?

ハロウィンのざわめきが増す街に、ついに犯人からハッキングによる犯行予告らしき謎のメッセージが流れる。

「ハッピーハロウィン!トリック・オア・トリート。私は誰も気づかないほど小さくて、目に見えないほど偉大なもの」

ヴィンセントが仕掛けた恐るべきトリックとは?
不死身のヴィンセントに挑むスパイクたちに勝算はあるのか?
そして、何も知らずハロウィンに浮かれる火星アルバシティー、数百万人の運命は!?









CHARACTERS 映画のみ


ヴィンセント・ボラージュ
大都市での無差別大量殺人を実行した冷酷なテロリスト。フェイが追っていたハッカーと入れ替わり首都高速でナノマシンを使った爆発テロを起こす。実体が掴めない不確かさは彼の心境を現している。もとは火星陸軍の特殊部隊にいたが、戦場での過酷な逃亡から記憶を失った。
「この世界は蝶たちが俺に見せている夢なんじゃないか?」

エレクトラ・オヴィロウ
かつて陸軍特殊部隊に所属していたマーシャルアーツの使い手。ヴィンセントを追ってスパイクと接触。軍人としての規律を第一とする態度とは裏腹にヴィンセントにたいして様々な感情を抱いているようだ。スパイクとの肉弾戦には息を飲む迫力ある闘いを披露してくれる。
「知り過ぎる事は命を縮める」

ラシード
モロッカンストリートでスパイクが出会った謎の男。「なんでもある」と意気揚揚にスパイクに声をかけてきた。毎度登場するたびに炎をあげるライターはなかなかステキである。実は、テロ事件解明の鍵を握る人物であり、ヴィンセントのことを知っている。
「インシャラー」

リー・サムソン
フェイが追っていた賞金首のハッカー。普通のハッキングには飽き、スリルを味わうためにヴィンセントと行動を共にしていた。現実とゲームの間に身を起き、どちらの判別もついていないような言動。ゲーム感覚ですべてを見ている。
「……あーあ、死んじゃった」

 
collection of words ネタバレ有
スパイク 「ジェットさんよぉ」
ジェット 「なんだ?」
スパイク 「3人、って言ってたよな?」
ジェット 「………敵を欺くにはまず味方から」
スパイク 「欺いてどーすんだよ」
オープニングでのコンビニ強盗を捕まえるシーン。二人ともそんな悠長な(笑)

スパイク 「デジャヴ、かな」
ジェット 「あん?」
スパイク 「たしか……昨日の夜もカップらーめんだったような気がするんだが……」
ジェット 「寝ぼけたこと言うな、昨日も一昨日も3食カップラーメンだっただろうが。忘れたのか?」
スパイク 「そうか……夢かと思ったぜ」
生のものが食いてぇ〜〜と唸るスパイクにジェットが差し出したのはカップモノばかり。そばにすしになんでもござれ。

フェイ 「へーえ、結構な事件だったんだ。……ふーん、ウィルス。……あらら、化学兵器ねぇ。へーえ……ん?ちょっと、何それ?あんた達、ちょっとアインまで」
エド 「えんがちょ、ばいきんまーん」
フェイ 「何よそれ!!」
スパイク 「うわ、やめろッ!!」
現場にいたフェイをめぐって逃げ惑うビバップメンバー。エドどころかアインまで距離を置く始末。スパイクが飛びかかったフェイに捕まったりしていた。

リー 「一度やってみたかったんだよねぇ。………テロリストってやつを、さ」
フェイが追っていたハッカーは、謎のバイオテロを引き起こした男とつながっていた。ゲーム好きで現実と仮想の区別が曖昧になっている。ある意味、同類な男だ。

ジェット 「なんで強行捜査しねぇんだ。別件でも何でも入り込めるだろ?」
ボブ 「お前がいた頃とは変わったんだよ。ISSPも今や、肩書きばかりの張りぼて組織さ。偉いさんは自分の出世にしか興味がねぇし、下っ端はヤクザに目こぼしして小遣い稼ぎ。こっちも突つかれるとやばいのさ。……腐ってるよ」
ジェット 「変わってないさ。だから、辞めたんだ」
ウェスタン映画を見ながらの会話。情報を得るジェットがポツリと零すセリフは重い。

ヴィンセント 「煉獄を知っているか?」
ムラタ 「え?」
ヴィンセント 「天国と地獄の間にある場所だ。……そこは天国に入れず、取り残された者達が苦しみつづける場所。……そう、この世界の事さ」
ヴィンセントが今生きているのはどちらなのだろうか?本人もそれがわからずにいるのかもしれない。

ムラタ 「なんで、ハロウィンなんだ?」
ヴィンセント 「……昔、ハロウィンは煉獄の魂が天国に行けるよう祈りを捧げる日だった。そうだ……祈るがいい」
現実と仮想……その区別をつけなくなってしまった人をだれがたすけてあげられるのか?

フェイ 「もっと楽して稼げる、あたしにピッタリな生き方がある気がするわー」
エド 「フェイ〜」
フェイ 「なーんでこんな連中とつるんで美しい20代を費やさなきゃあなんないんだろ……」
エド 「フェイフェイ〜〜」
フェイ 「いったいどこで間違えちゃったのかなぁー……」
エド 「リーさんがまたカード使ったよ」
フェイ 「ん?そっちがあったか!!」
エドとアインとフェイのコンビが結構多くて好きなんです。意図がつながっていないようでちゃんと通じているところなんか良いなぁ。

フェイ 「ハーイ。ああ、何それ、タン壷?」
スパイク 「まあな」
エド 「グーラ〜グーラ〜グーラ〜グー………んにゃ?おみやげタコ壷?」
スパイク 「まあな」
同じ壷を見ても十人十色の質問。……というか、フェイ、一応女性なんだからねぇ(苦笑)

フェイ 「やっと会えたわ、ハッカー坊や」
リー 「…………あと500ポイントだったのに。……そしたらスポーキードーキーに会えたのに……」
フェイ 「ちょっと聞こえてる?」
リー 「チクショウ……めったに会えねぇのにさ。……どうしてくれるんだ?賞金稼ぎのねーちゃんよ」
フェイ 「自分の立場わかってんの?ゲームはもうお終いよ、坊や」
リー 「スポーキードーキーの恨みは恐いよぉ……」
現実と仮想の区別がつかない男がここにも。銃口を向けられても考えているのはゲームの事ばかり。彼にとっては自分の人生さえもゲームの一つなのか。

エレクトラ 「知り過ぎる事は、命を縮めるわ」
スパイク 「強い女は好みだけどな」
研究所での一戦。肉弾戦でもスパイクに引けを取らない彼女はヴィンセントと同じ紋章を持っていた。

エド 「はっけんはっけんー」
フェイ 「えっ?エド?何よ?」
エド 「んとねー、リーさんはっけんだよ」
フェイ 「うそっ!?やるじゃないの。あんた、ただの子供じゃないと思ってたわ。今どこ?」
エド 「げんざいちをおくりまーす」
フェイ 「しっかりそこで見張ってるのよ。すぐに行くから、ゼッタイ動いちゃダメよ」
エド 「うん、わかったよ〜〜・バイバーイ」
この直後、通りかかった子供達と共にお菓子をもらいに出かけてしまったエドとアイン。ジャック・ランタンをかぶったアインが可愛過ぎvv

ヴィンセント 「やれよ」
スパイク 「殺しゃあしねぇ。賞金がパアになるからな」
ヴィンセント 「死など恐れちゃいない。静かに夢を見るだけだ……永遠に続く夢を」
スパイク 「………ふざけた野郎だぜ」
テレビシリーズでスパイクが常に言いつづけてきた。「覚めない夢を見ている自分」それは今のヴィンセントとひどく酷似している。

ラシード 「望みのものは見つかったか?」
スパイク 「いいや、いらないものばかりだ」
ラシード 「世の中、えてしてそういうものだ」
いらないものをつくりだしてしまった人間。今回の鍵を握る謎の人物、ラシード。神出鬼没な登場にはスパイクも驚愕する。

フェイ 「あんた……一体何がしたいの?金目当て?何か恨みでもあるの?それとも……楽しんでるの?」
ヴィンセント 「ただ……探しているだけだ。扉を、な」
フェイ 「……トビラ?」
タイタンで失った過去の記憶と共に、その真実にたどり着くためのトビラをヴィンセントはただ捜し求めている。

エレクトラ 「ヴィンセントは……あの人は生まれた時から独りだったの。(中略)だれにも愛されたことがなかった。……だから、彼を救いたかった。救えると思ってたの」
その感情がなんなのかわからない。だが、失いたくない人がいるという事実が今の彼女を支えていたのだ。

フェイ 「世界を道連れにでもするつもり?あんた……狂ってるわ」
ヴィンセント 「そう思うか?正常と異常の境界線など誰に引ける?ふとしたきっかけで入れ替わらないと、誰に言える?もうすぐわかる。狂っているのは、この世界の方さ」
現実と夢。……どちらが現実でどちらが夢なのか。今のヴィンセントには理解できない。タイタンで人間の悪な部分を目の当たりにしてしまった彼には。

スパイク 「俺はあいつに借りがあるんだ」
フェイ 「ムチャだってば!!」
スパイク 「あいつがただこの世界を滅ぼしたいだけなら、とっくにそうしているさ」
フェイ 「え?」
スパイク 「これは奴からの招待状だ。客が来なきゃパーティは始まらねぇ。行ってくれ、お前が動いてくれなきゃ場がしまらねぇんだ……頼んだぜ」
フェイ 「もうっ!!!バカは死ぬまで治んないわっ!!!!」
フェイが戻り、スパイクがエレクトラとカウンターナノマシンを持ってビバップ号に帰還する。ヴィンセントに借りを返すためだけにスパイクはソードフィッシュUで飛び立った。

スパイク 「そいつはただ……ひとりぼっちだっただけさ。自分以外の誰ともゲームを楽しめない。……夢の中で生きてるような……そんな男だった」
いるはずのない黄金の蝶。目の前に手をかざすも……それは幻。

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