キョーミ



興味を引いたのは、目が合った瞬間だったと思う。

あぁ、こいつの目の色は濁ってねぇ

そう感じてた。

理由なんかあるはずもない。

ただ、そう感じただけだ。




いつもいつも、毎日繰り返されるのは同じこと。
同じ制服、同じ年齢、同じ先公……
エンドレスかと思えたそんな中であいつに会った。
そこだけ、色が違って見えたなんて………笑えるけどな。事実だから……

一見、パッと見は普通の大人とかわらねぇのに、身体の中心に強い光みたいなものを持っている。
それが、あいつ………俺の担任。


「よーし!!出席をとるぞぉ!!!!」

長いおさげ髪に眼鏡。ボーットした感じの印象だが、眼鏡の下の瞳は強い。
そして、実はあいつの眼鏡は伊達だ。
まるで素顔を隠すような仮面をつけていても、あいつの強さを隠すことはできないのに………。

「おもしれーやつ」

思わず笑いがこみ上げてきた。吹き出しそうになったところをなんとか飲みこむ。
相変わらずバカ正直で放って置けない俺の担任。

「おい、沢田。なにがそんなにおかしいんだ?」

俺の席は一番後だって言うのにな。
そうやって俺たちの一挙一動で表情変えてたら、面白くて面白くて………

「ほんと、放っておけねぇんだよ」

「は?」

怪訝な表情でこちらを見ている彼女に俺は笑って誤魔化した。
となりの席のクマが嬉しそうな楽しそうな顔をしている。うっちぃも野田も南も………。

「オレ、久々に慎が笑うところ見たぞ」

こっそりとパンを食べてるクマ。

「なんか楽しいことでもあったのかよ、慎」
「なんだよなんだよ、オレにも教えろよ」

うっちぃと野田が笑ってやがる。こいつらもどことなく雰囲気が変わってきたな。
好き勝手ばっかしてるけど、それが自棄じゃねぇってはっきりとわかる。

「こぉら!!!お前等、返事くらいしろぃ!!!!」

「わかってるよ、ヤンクミ」

そっとため息混じりに呟いてやると、ヤンクミは満面の笑顔を浮かべて頷く。

なにがそんなに楽しいのか?

…………ま、良いけどな。


こいつが来てから、変わったのは俺だけじゃない。
クマもうっちぃも野田も南も………このクラス全体が…………いや、この学校全体がおもしれーことになってる。

そして、満更でもないって………思える自分がいる。

これからもオレを楽しませてくれるんだろう?


なぁ、やんくみ。









初の「ごくせん」小説です。 「慎→ヤンクミ」で視点は慎です。彼ってあまり多くを語らないけど、こうなんというか目とか態度とかではっきりと言ってるんですよねぇ。初めはヤンクミの正体が気になっていただけかもしれないけど、だんだん楽しそうな顔をする慎がステキですに。この二人、めっちゃカッコ良いですよねぇvvv